最高裁判所第三小法廷 昭和51(あ)1045 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人大槻龍馬の上告趣意第二点のうち、関税法一一八条二項(昭和四二年法律
第一一号による改正前のものをいう。以下同じ。)の解釈の誤り又は憲法二九条一
項違反をいう点は、関税法一一八条二項によつて追徴を科される犯人は、犯罪貨物
等の所有者に限られると解すべきであつて、もしそうでなければ、右条項は憲法二
九条一項に違反する、というのである。しかし、関税法一一八条二項にいわゆる犯
人とは、犯罪貨物等の所有者に限られず、当該犯罪に関与したすべての犯人を含む
趣旨であること及び同条項が憲法二九条一項に違反するものでないことは、当裁判
所大法廷の判例(昭和三六年(あ)第八四七号同三九年七月一日決定・刑集一八巻
六号二六九頁、同四一年(あ)第八〇九号同四五年一〇月二一日判決・刑集二四巻
一一号一四八〇頁)の趣旨とするところであつて、所論は、理由がないことが明ら
かである。また、同第二点において、憲法三六条違反をいう点の実質は量刑不当の
主張であり、同第一点のうち、憲法三八条三項違反をいう点は、原判示第一の犯罪
事実が被告人の自白のみによつて認定されたものでないことは原判決の判文に徴し
明らかであるから、前提を欠き、その余は、単なる法令違反の主張であり、同第三
点は、憲法三〇条違反をいう点を含め、すべて実質は単なる法令違反の主張であつ
て、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
よつて、同法四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
昭和五二年一二月六日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 天 野 武 一
裁判官 江 里 口 清 雄
- 1 -
裁判官 高 辻 正 己
裁判官 服 部 高 顯
裁判官 環 昌 一
- 2 -